地理的表示法(GI)について <特定農林水産物等の名称の保護に関する法律>
こんにちは。上級食品表示診断士のmgoloです。
今日は、地理的表示、いわゆるGIについて少しまとめました。
国内では2014年に制定されていますが、2017年12月に日本とEUとの間での最終合意内容が発表されました。そして、2019年2月には日本とEUの間で保護が開始されました。
EUとの主な合意事項は日本側48産品、EU側71産品についてGIを相互に保護するというものです。そして、保護開始後は産地や品質などの基準に沿わない表示は、産品の名称が使えなくなりました。合わせて、文字や国旗等を組み合わせた結果、GI産品と誤認させる恐れのある表示も規制されました。
GIの根拠資料としては、生産団体が作成する保護の対象を示す明細書と呼ばれる書類に規定された生産地、生産方法等に合致していることが判る証明書などが必要になると思われます。
今回はこの保護の対象となったEU71産品について保護の対象とならない場合をまとめました。要するに、使用できる表示をまとめました。
1、真正品との誤認混同を生じない限り、地理的表示の保護は及ばない。
例えば、「カマンベール ド ノルマンディ」の表示は保護の対象ですが、「カマンベール風チーズ」は、日本で普通名称と認識されているため保護の対象とならない。なお「ノルマンディ風カマンベール」は、「カマンベール ド ノルマンディ」と誤認混同する恐れがあるためGI侵害となります。
2、複数の語からなる名称の一部のみの使用については、類似名称とはみなさず、地理的表示として保護しない。
例えば、「ペコリーノ ロマーノ」や「モルタデッラ ボローニャ」の表示は保護の対象ですが、「ペコリーノチーズ」、「ロマーノチーズ」、「モルタデッラ」とした場合は、一部のみの使用のため保護の対象とならない。なお「ローマスタイル ペコリーノチーズ」とした場合は誤認混同する恐れがあるためGI侵害となります。
3、「パルメザン」という単体名称は、「パルミジャーノ レッジャーノ」とは別の物として扱う。
例えば、「パルミジャーノ レッジャーノ」の表示は保護の対象ですが、「パルメザンチーズ」とした場合は、別のチーズと扱われるため保護の対象とならない。なお「パルメザンチーズ~Authentic Italian~」とした場合は誤認混同する恐れがあるためGI侵害となります。
4、品種名称として同一名称が使用されている産品については、品種としての名称使用は地理的表示の保護の対象外。
例えば、オレンジの品種名としての「バレンシア」が使用可能。
5、EUのGIチーズの中には、チーズの加工や包装等についても生産地で行うように明細書で規定しているものがあり、それらについては、日本とEUが合意できる解決を図ることとしている。
例えば、「ロックフォール」は、シュル=スールゾンの自治体においてのみ、本チーズの熟成、保管、カット、調整、包装がなされることと明細書で規定されています。しかし、日本国内での流通実態に鑑み、国内でのカット・スライス等が行えるよう明細書の適用について調整期間が確保されています。